エッセイ
『父の詫び状』
昭和の「懐かしい家庭」を卓越した記憶で鮮烈にユーモラスに描く、向田邦子の第一エッセイ集。
星野源
向田さんの簡潔な言葉の裏側には、男とは、女とは、人間とは、といった深い洞察が広がっているように感じます。自分の歌詞もそうでありたいと思っています。
出所:文藝春秋BOOKS
『はれた日は学校をやすんで』
中高ストレートの私立女子高(高知の名門・土佐女子高)を高3の夏、強制退学になり、今までずっと人生の苦労をしどおしの女流まんが家の自選作品集。
星野源
西原さんのマンガを読むと「う~ん。どうしてこういうことをマンガにできるんだろう」といつも唸らされます。人にはいろいろ理由があるという、単純にわりきれない部分を表現できる人ってあまりいない思うんです。
西原さんは、そういうことをのほほんとやっているようにみせることができる数少ないマンガ家さんだと思います。
出所:ほぼ日刊イトイ新聞
『21世紀のあくび指南』
演目ごとに解き明かす落語の魅力。
星野源
僧侶の玄侑宗久さんと落語家の立川志の輔が「茶の湯」や「寿限無」など、落語の代表的な演目のあらすじの紹介と各演目についての対談という形で解説してくれる、落語の本当の面白さを教えてくれる本です。
僕は元々、枝雀さんの落語が好きで よく聴いていたのですが この本のおかげで、落語がもっと身近なものになりました。こういう歴史の背景があって、こういう成り立ちでこの演目ができたというよくある解説本じゃなくて、「現在の感覚」で語られているところにぐっと引き込まれます。
むずかしい話かとおもいきや、分かりやすく落語をひも解いてくれています。落語を身近に感じさせてくれると同時に落語のスタンスってかっこいいなぁ、と思わせてくれる本です。
出所:ほぼ日刊イトイ新聞
『ゲームの話をしよう』
「ファミ通」編集者がゲームの作り手からマンガ家、イラストレーター、ミュージシャン、さらにはゲーム好きの小学生まで、さまざまな人たちと話すゲームのあれこれ。
星野源
この本のおかげで、どっぷりゲーム漬けの毎日です。ゲームクリエイターの方の悩みや思い、編集者の方のぼやきなどほぼ雑談しているだけなんですが、何故か胸にぐーっと伝わってくるものがあって すごく面白くて、ゲームへの嫌悪感が まったくなくなりました。
この本がきっかけで、色んなゲームをやりたいと思うようになりました。ゲームをやってみては、またこの本を読む。そしてまたゲームに戻る。それが楽しくてしょうがないです。
出所:ほぼ日刊イトイ新聞
小説
『四月になれば彼女は』
『世界から猫が消えたなら』『億男』の著者、2年ぶりの最新刊。ある事件をきっかけに別れてしまった彼女は、なぜ今になって手紙を書いてきたのか。そのとき僕は結婚を決めていた。愛しているのかわからない人と——。失った恋に翻弄される12カ月がはじまる。
星野源
イノセントかつグロテスクで、ずっと愛を探している。川村元気そのもののような小説でした。
出所:『四月になれば彼女は』の帯
【同様にこの本を紹介していた著名人】
新海誠
『東京の夫婦』
東京で家族を失った男に、東京でまた家族ができた。夫は、作家で演出家で俳優の51歳。妻は、31歳の箱入り娘。東京で出会って、東京で夫婦になった。ときどきシビアで、ときどきファンタジーで。東京の夫婦はたくさんいる。そのどれにもドラマがある。これも一つの東京の夫婦のストーリー。
星野源
この本には、僕が大好きな松尾さんがたくさん詰まっています
出所:『東京の夫婦』の帯
『テロリストのパラソル』
爆弾テロ事件の容疑者となったバーテンダーが、過去と対峙しながら事件の真相に迫る。乱歩賞&直木賞ダブル受賞、不朽の傑作ミステリ。
星野源
一人称の見事な語り口に惹かれました。この物語の主人公であるバーテンダーの島村圭介は、ものすごく用心深く人生を送ってきたという設定なので、非常に描写が細かい。
ボヤッとした性格の主人公なのに、なぜかやけに物事をきっちり記憶している小説もありますが、この物語にはそういった違和感がほとんどありません。一人称と描写がガチガチッと完璧にはまっている。だからこそ読みやすい。
舞台となる時代が現在と過去を行ったり来たりするものの、構成の複雑さを意識させず、先の気になるストーリーに没入することができました。こんな面白くてスリリングな物語の主人公をいつか演じてみたいものです。
出所:文藝春秋BOOKS
『逡巡』
ハガキ職人時代に北海道から上京し、構成作家として伊集院光や南海キャンディーズ山里亮太のラジオ番組に関わった後、作家になった著者。脱力系文学と自由律俳句の旗手が挑む、新感覚小説。
星野源
最高に切ないし馬鹿だしカッコいい。
出所:『逡巡』の帯
『棒がいっぽん』
「棒がいっぽん」それは、物語が始まる合言葉。「奥村さんのお茄子」をはじめ、6作品を収録。独特の感覚で身近な生活を描く。
星野源
自分の中の「おもしろさ」の違いに 目をつぶってしまっていたことに、 気づくきっかけを作ってくれました。
アングラでもない、サブカルでもない、 メジャーとかマイナーとかインディーズを 超越しているようなおもしろさ。 そういうところに 自分の「おもしろい」があったことを 気がつかせてくれた。 そんな大事な本です。
出所:ほぼ日刊イトイ新聞
『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
酒はやめられるのか。その時、家族がとった行動は。そして、待っていた意外な結末…。強制入院したアルコール病棟で起こる珍奇な騒動。別れた元妻と子どもたちとの優しい時間。情けなくも笑えて切ない脱アル中私小説。
星野源
この本は、アル中の主人公と別れた元妻と子どもたちの優しい時間が描かれた私小説です。これを読むと、西原さんが、私マンガとして描いている視点と鴨志田さんが、私小説として描いている視点の二つが見えてより深く、西原さんがどんな人なのかが伝わってきます。
ほんとのことを二人とも描いているわけですが、西原さんがギャグに転化してる部分を鴨志田さんは包み隠さず、そのまま書いていて、西原さんの本だけ読んでいるとどこからが本気で、どこからがギャグなのかが分からないんですけれど、これを読むとどういう状況でギャグマンガを描いていたのかがよくわかります。ものすごくかっこいいなあと思うんですね。
出所:ほぼ日刊イトイ新聞
『真実の10メートル手前』
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。
星野源
米澤さんの作品は、謎解きの部分も面白いんですけど、謎から生じてくる人間ドラマが面白いです。登場人物への愛をものすごく感じるし、ミステリーというジャンルの垣根を壊そうとしている感じがします。それをジャンルの外側からやるんじゃなくて、ジャンルのど真ん中でされているところが素敵です。
出所:ダ・ヴィンチニュース
『王とサーカス』
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
星野源
『王とサーカス』はミステリーの謎解きの部分も面白いし、謎から生じてくる人間ドラマも濃厚なんですが、この作品では “文章を書くことと伝えること” というシリアスな問題を扱っています。
僕も言葉に関わる職業だったりもするので、太刀洗万智が導き出す結論には感動しましたし、その誠実さにすごく惹かれました。
出所:ダ・ヴィンチニュース
『本と鍵の季節』
堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。
星野源
第1話の「913」を読んだ段階で「大好き!」でした。
出所:ダ・ヴィンチ2019年1月号
『満願』
鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。
参考:ダ・ヴィンチニュース
マンガ
『ゆるゆり』
旧・茶道部の部室を不法占拠して勝手に「ごらくぶ」の活動を続ける、悪の4人組。正義の生徒会は、ならず者どもを一掃するためについに重い腰を上げたのだった—。
星野源
百合って、なぜにこんなにもグッとくるのでしょうか。とはいえリアルな女の子な部分がちょうどよく抜かれている作品です。
出所:『働く男』
『不思議な少年』
終戦直後の日本に生きる家族を縛る「血」と「土地」。19世紀末のロンドンを懸命に生きる身寄りのない少女。生きる目的を知らぬまま戦国乱世を駆け抜けた1人の青年。それはいつの時代も変わらない人間らしい生き方。そこに1人の少年がいた。
星野源
『不思議な少年』は、よりシリアスに人間の秘密、生きていることの意味、そんなことを物語を通して教えてくれるような作品だと思います。
出所:『働く男』