歴史・社会
『ハドリアヌス帝の回想』
皇帝の威厳にふさわしい抑制された筆致をもって語られる、ひとりの人間の深い内省の物語である。
ヤマザキマリ
拙著『テルマエ・ロマエ』のハドリアヌス帝のイメージの元にもなった作品です。第14代ローマ皇帝ハドリアヌスは別格でした。教養人として随一、建築家としても優れ、そして繊細で孤独な人だった。だから多くの人が惹かれ書いているわけですが、中でもユルスナールのこの本は、ハドリアヌスが読んだら大層感動しただろうと思います。
『奴隷のしつけ方』
管理職にするなら顔の良い男は避けろ。奴隷は資産、適度な鞭打ち、鉤吊りを。家族を持たせて人質に。古代ローマ貴族が教える、究極の人を使う技術。
ヤマザキマリ
古代の大帝国を支えた奴隷越しに我々の生きる現代社会が見えてくる
出所:本の帯
『ローマ帝国時代のガリア』
紀元前1世紀から5世紀頃までの、ローマ帝国時代におけるガリア(フランス、ベルギー、スイス、ドイツ、オランダなどの地域)の文化や建築、人々の暮らしを、 最新の研究に基づいた復元図と共に解説。
ヤマザキマリ
古代ローマのパワーを、そして属州ガリアの豊かさを、実際に旅をしてみて感じてきたかのような気持ちにさせられる、珠玉の史料。作画にも欠かせない愛読書が、ついに日本語でも読める日がきた!
出所:本の帯
『混浴と日本史』
宗教や売春の場となったり、権力から弾圧されたり、多様な面を持つ。明治以後、西欧文明の波が押し寄せ、不道徳とされながらも消えずに残った混浴。太古から現代まで、混浴が照らす日本人の心性に迫る。図版多数収録。
ヤマザキマリ
この本を読んでいると古代ローマも日本も似たようなものだと感慨深くなる
出所:本の帯
『未来のアラブ人』
アサド独裁下のシリアで生きる小学1年生の記録。
ヤマザキマリ
この巻(2巻)を読んだ後であれば、 どんな星の宇宙人と遭遇しても私は決して驚かない。
出所:本の帯
『棟方志功の福光時代』
「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家。大戦中、彼が疎開先の真宗王国富山・福光で過ごした6年8ヶ月は、その後の作家人生に大きな影響を与えた。
ヤマザキマリ
今の時代、《十大弟子》を見せた日には衝撃ですよ。イタリア人に見せるとみんなもうびっくりする。ダイナミックさと音楽性、リズム感、あらゆる表現が入っているからだと思うんですよ。
出所:本の帯
『世界史 10の「都市」の物語』
「ニューヨークが人種のるつぼの理由は街の成り立ちにあり」「パリが今のような都市になったのはセーヌ川があったから」など、都市の中に脈々と息づく歴史の影響。その歴史をひもとけば、諸文明が歩んできた道筋が見えてくる。
ヤマザキマリ
ローマ、イスタンブルからデリー、北京、パリまで 歴史都市を出口先生と巡る!
出所:本の帯
『烈女の一生』
トーベ・ヤンソン、フローレンス・ナイチンゲールなど、烈しい時代をサバイブしてきた20人の女性の生涯。決して遠い時代の話ではない。今を生きる私たちに強いメッセージと気づきを与えてくれる一冊。
ヤマザキマリ
「烈」という甲冑の下に、宿命を満身創痍で受け入れる健気な女たちの姿が見えてくる
出所:本の帯
『世界はラテン語でできている』
ラテン語は死語ではなく、知への扉だ。よく耳にするあの企業の名前から、有名な歴史上のあの人物の名言まで。語学、ラテン語の知識ゼロから読めるラテン語雑学本。
ヤマザキマリ
時代を超えて生き続けるラテン語の魅力と発見が炸裂する一冊
出所:本の帯
『自分で始めた人たち』
民主主義は、選挙やデモだけではなく、私たち一人ひとりの暮らしの中にある。元『クローズアップ現代』キャスターの国谷裕子氏を含め、12人の民主主義を実践する人との対話で政治学を学び直す。
ヤマザキマリ
成熟した社会のビジョンがこの一冊の中に見えてくる。
出所:本の帯
『越えていく人』
かつて多くの日本人が南米へ渡った。ペルー、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、ボリビア。日系移民の子孫たちの言葉から浮かび上がる、もう一つの日本近代史。
ヤマザキマリ
この本を読み進めていて何より実感できたのは、私たちがどんな国に帰属していようと、どこに移り住もうと、所詮は誰しも地球という惑星の、逞しき住民ということだ
出所:本の帯
『イザベルに』
ポルトガルの独裁政権下で地下活動に関わり姿を消した女性イザベルをめぐる物語。リスボン、マカオ、スイスと舞台を移しつつ9人の証言者によって紡がれる。
ヤマザキマリ
姿を消したひとりの女性の軌跡を辿りながら、語り部の現実と幻想の糸で織りなされる彩り豊かな曼荼羅の中を、私たちは旅をする。
出所:本の帯
マンガ
『明日の夜は千の眼を持つ』
『夜は千の眼を持つ』『さよならもいわずに』の上野顕太郎による、400ページ超えのギャグマンガ集。
ヤマザキマリ
こんなにアホらしい話をミケランジェロ並の究極的ワザと情熱を込めて描くという衝撃!!正直ウエケン作品がこの世に存在していなかったなら、私は『テルマエ・ロマエ』を描いていなかったと思います。
出所:本の帯
『ナガサレールイエタテール』
2011年3月11日、実家が津波で流された。母娘三代の実録自宅再建エッセイマンガ。
ヤマザキマリ
何かあった時のためにいちばん読んでおきたいエッセイマンガ
出所:本の帯
『エコノミックス』
いまだかつて誰も描かなかった経済マンガ、350年にわたる歴史と今を語る。
ヤマザキマリ
経済の歴史と性質を把握することが、これほどの心強さをもたらすものとは思ってもみなかった。こんな時世だからこそ、何度でも何度でも繰り返し読みたい気持ちに駆られる、解りやすくて面白い経済史の大傑作!
出所:本の帯
『はみだしっ子』
親に見捨てられた子供達の早すぎる孤独は、彼らをこの世のはみだしっ子にしていた。傷ついた過去を癒してくれる誰かがきっとどこかにいるはず!愛を探すそれぞれの心が今、血の絆を超え固く結ばれる。
ヤマザキマリ
私は『花とゆめ』に掲載されている、特徴ある絵柄と、どこか文学的なストーリーの漫画にはまっていた。特に三原順さんの『はみだしっ子』や(中略)がお気に入りだった
出所:『多様性を楽しむ生き方』
『妖精王』
妖精の王国を舞台とした、ライトエルフとダークエルフの争いを描いた、スペクタクルファンタジー。ギリシャ神話やケルト神話の他、作者・山岸凉子の故郷である北海道の神話や伝説に登場する、神や精霊などが随所に登場する。
参考:『多様性を楽しむ生き方』
『ガラスの仮面』
平凡な一人の少女が、ライバルとの葛藤を通して眠れる芝居の才能を開花させ、成長していく過程を描いた作品。1975年から連載が続いており、2023年時点で未完である。
ヤマザキマリ
大人気だった美内すずえさんの『ガラスの仮面』や和田慎二さんの『スケバン刑事』など孤高の少女が主人公の作品からも目が離せなかった。
出所:『多様性を楽しむ生き方』
『スケバン刑事』
脱獄不可能と言われている少年院「地獄城」。ここに収監されている一人の少女・麻宮サキは院生たちから一目置かれているスケバンだ。そんな彼女の元に裏の警視総監と呼ばれる男が訪ねてくる。
参考:『多様性を楽しむ生き方』
『トーマの心臓』
トーマ・ヴェルナーが陸橋から転落死した。その後主人公のもとにトーマからの遺書が届く。事故死とされていたトーマの死が自殺であること、トーマが死を選んだ理由が自分自身にあることを知った主人公はショックを受ける。
ヤマザキマリ
今も敬愛する萩尾望都さんの作品の中でも大好きだった『トーマの心臓』や『ポーの一族』は、学校や家族という組織に属しながらも、社会にも周囲にも帰属できない人物像を描き出している。
出所:『多様性を楽しむ生き方』
『ポーの一族』
少年の姿のまま永遠の時を生きる運命を背負わされた吸血鬼エドガーの物語。成長の代償に失うもの、大人になれない少年の姿が描写されている。
参考:『多様性を楽しむ生き方』
『空論基礎・Ⅰ』
ダ・ヴィンチ・恐山著、あらゆる分野に精通する、思想派女子高生達の本格日常会話。
ヤマザキマリ
今も忘れられない。
出所:本の帯
小説
『百年の孤独』
ノーベル文学賞を受賞したガルシア=マルケスの代表作。世界各国でベストセラーになり、ラテンアメリカ文学ブームを巻き起こした。ある一族が村を創設し、隆盛を迎えながらも、やがて滅亡するまでの100年間を舞台としている。
ヤマザキマリ
人間という社会性の生き物の観察記録みたいなもの。『テルマエ・ロマエ』で、日本人にとっては見慣れたシャンプーハットにローマ人が驚くシーンとか、普段、当たり前にあると思っているものを、デフォルトにしてみる視点もマルケスの影響だと思います。
『春の雪』
三島の生涯最後の長編小説『豊饒の海』第一巻。大正時代の貴族社会を舞台に、侯爵家の青年と伯爵家の令嬢との結ばれることのない悲恋を描く。
ヤマザキマリ
まず、文体の美しさに衝撃を受けました。それから何と言ってもテーマが壮大。
三島は輪廻転生という仏教的なテーマを追究し、ほぼ悟りの域にまで達しています。これだけの作品を書いたら、自らの本質は作品世界に乗っ取られて、自分の中には即物的なものしか残らないのではないかと想像しますね。
実際、書き上げた直後に三島は自殺したわけですが、同じ表現者として言わせてもらえば、こうした作品を残して死ぬのは作家の理想形といえるのではないでしょうか。
【同様にこの本を紹介していた著名人】
宇垣美里、ちきりん、山崎直子
『風神雷神』
謎に包まれた俵屋宗達『風神雷神図屏風』を軸に、戦国時代の日本とルネサンス・イタリアを繋ぐ、前代未聞のアートフィクション。
ヤマザキマリ
縦横無尽な想像力に操られたマハさんの筆致にすっかり魂を持っていかれた。カラヴァッジョと宗達を繋げてしまう発想には脱帽です。
出所:本の帯
『ワイルドサイドをほっつき歩け』
英国でけしからん存在として、悪役にされている労働者階級のおっさん。EU離脱や緊縮財政などの社会的な問題を生活者の視点で描く。
ヤマザキマリ
イギリスの市井の人の魅力を引き立てるブレイディさんの愛と観察眼と筆力に心を丸ごと持っていかれた。一編一編が人情に満ちた極上のドラマ!
出所:本の帯
『砂の女』
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。人間存在の極限の姿を追求した長編。安部公房の代表作であり、20数ヵ国語に翻訳されている海外でも人気の高い作品。
ヤマザキマリ
私たちが生きているのは、果たして砂の穴の中なのか、それとも外なのか。
出所:本の帯
【同様にこの本を紹介していた著名人】
虫眼鏡
『鹿の王』
強大なツオル帝国に敗れ、岩塩鉱で奴隷として囚われていたヴァン。ある日、奇妙な山犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生した。全滅する人々の中、ヴァン山犬に噛まれながら命を取り留める。
ヤマザキマリ
支配に駆られる者と従属に反抗する者、蔓延る病とそれに立ち向かう医学、マクロとミクロの視点からタックミニ表現される、人間という生き物の織りなす壮大なドラマに最後まで息を呑んだ。
出所:本の帯
『ヴァチカン図書館の裏蔵書』
ローマ大学に留学中の玄須聖人は、教授の依頼でヴァチカン秘密記録保管所を訪れ、企画展に向けて幻の資料を探すことに。その頃、ドイツとオーストリアで魔女狩りを彷彿とさせる猟奇殺人が起こる。
ヤマザキマリ
「テルマエ」という言葉をミステリーで読む日がくるとは!あれこれローマ的要素が満載で終始興奮しっぱなしでした。ああ面白かった。
出所:本の帯
ノンフィクション
『世界天才紀行』
古今東西の天才を生んだ土地を訪ねて、アテネからシリコンバレーまで7都市を旅するユーモアとウィットあふれる思索紀行。
ヤマザキマリ
天才が育まれてきた環境には、彼らの特異性を受け入れる土壌と、それを認める寛大な社会があった!
出所:本の帯
『人間の土地へ』
日本人女性として初めてK2登頂に成功した著者と、ラクダと共に生きるシリアの青年。砂漠で出会った二人を待ち受けていたのは、シリア内戦だった。「今世紀最悪の人道危機」と言われた内戦を内側から見たノンフィクション。
ヤマザキマリ
登山で知った自然界の過酷を、シリアの混乱と向き合うエネルギーに昇華させ、 全身全霊で地球を生きる女性の姿がここにある。
出所:本の帯
『美の世界旅行』
インド、スペイン、韓国、メキシコ。各国の美術と建築を独自の視点で語り尽くし、現地の人の暮らしに生身で入り込んでゆく美の世界旅行。それは、太郎にしかできない太郎全開の旅。
ヤマザキマリ
世界を巡る太郎の足取りに、惑いや躊躇など一切ない。
出所:本の帯
『続 地球家族』
世界の統計的に平均的な家族がどんな物に囲まれ、どんな普通の暮らしをしているか。『地球家族―世界30か国のふつうの暮らし』に続いて、今度は20ヵ国の女性たちの暮らしを描く。
ヤマザキマリ
この一冊があるだけで、あなたに心強い仲間が増えたような気持ちになるでしょう。
出所:本の帯
『ベイルート961時間』
戦争の傷跡が色濃く残る街で、翻訳家・作家の著者は人々が語る食べ物の話を聞く。ベイルート、パリ、東京を往還しながら紡ぐ、多様性に満ちた「食」の思考。
ヤマザキマリ
魂のための味覚、そして魂のための栄養素。それが人間にとっての「食」なのだと実感した。
出所:本の帯
『ガリンペイロ』
アマゾン最深部にある非合法の金鉱山は、「掟」に従うならば、どんな人間でも受け入れる。泥に塗れ黄金を探す男たち(ガリンペイロ)の虚栄と嘘、微かな真実。NHKスペシャル、待望の書籍化。
ヤマザキマリ
圧倒的なエネルギーに満ち溢れている。
出所:本の帯
『世界とびある記』
TBSのドキュメンタリー番組『世界の旅』で人気を博した、兼高かおるが記したアメリカ留学の想い出、取材で訪れた東南アジアの国々。
ヤマザキマリ
「世界の旅人」にも初めてはあった!知らない土地だろうと、お金が足りなかろうと、すべてを楽しんでしまえる兼高かおるさんは、時代を超越したスーパーレディです!!
出所:本の帯
エッセイ
『知の編集工学』
1996年、インターネット黎明期に刊行され、「編集」こそが複雑な情報社会を生きる上で必須の技術であることを、世に知らしめました名著が、約30年の時を経て増補版にアップデート。
ヤマザキマリ
知性を成熟させるための必読書。
出所:本の帯
『想像力と状況』
芥川賞作家、大江健三郎によるエッセイ・評論集。この国の「あいまいな言葉」を検証し、強権の押しつける人間像を拒み、「国益」に対抗する思想をつむぐ。
ヤマザキマリ
人間と社会の普遍的実態を映し出す鏡となって容赦なく迫ってくる。
出所:本の帯
『ぼけますから、よろしくお願いします。』
認知症に苦しむ母を明るく励まし、寄り添い献身的に支えたのは96歳の父だった。老老介護の現実と互いを思いやる家族の愛情、深く優しい夫婦の絆を綴る。
ヤマザキマリ
老いとともに変化する大切なひと。その変化にいちばん辛さを感じているのは家族ではなく、老いていく本人なのだ。
出所:本の帯
『生き抜く人がしている68の行動』
ハリウッドはじめ国内外の有名俳優、経営者、アーティスト、王族貴族をクライアントに持つ美容家だからこそ分かること。彼ら成功者に共通する身体的特徴、マインドの持ち方とは。
ヤマザキマリ
世界が認めた美の職人。その腕には審美眼と直感を操る最高の技術力が宿っている。
出所:本の帯
『群衆と権力』
迫害された民族の一員としてファシズムの群衆現象を経験した、スペイン系ユダヤ人作家の群衆論。
ヤマザキマリ
読み返すたびに思考する力を高めてくれる
『祖国地球』
生態環境の破壊、民族対立、歯止めなき科学技術の発展。いよいよ鮮明になる人類滅びの構図。〈地球運命共同体〉の意識をもって我々は人間性の証しを見出せるか。
ヤマザキマリ
人間にとっての教養と見聞の必然性を自覚できる大切な一冊。
猫
『猫と罰』
かつて夏目漱石と暮らした黒猫は、幾度となく生と死を繰り返し、ついに最後の命を授かった。過去の悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、自称“魔女”が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へ迷い込む。
ヤマザキマリ
人はなぜ表現をするのか。なぜ表現が必要なのか。それを感受しながら生きる猫たちの、寛容と慈愛のものがたり。
出所:本の帯
『綿の国星』
チビ猫の目を通して、須和野家の人々や近隣の猫たちの関係性を叙情的に描いた作品。登場する猫はすべて、頭に猫耳のついた人間の姿という、擬人化表現で描かれている。
参考:『多様性を楽しむ生き方』
『ニャンたん』
猫の写真と一緒なら英単語も楽に覚えられる。欧米人には通じない和製英語や、同じ発音だけど意味が異なる単語など、英語の理解をさらに深めるための書籍。
ヤマザキマリ
こんあにかわいすぎる猫たちの写真を使うなんて、英単語を覚える最強の手段じゃないですか!
出所:本の帯
『にゃんこパワー』
猫好きなら感じたことのある不思議な力は本当だった。人間との長い歴史や各地に伝わる伝説、互いの絆が深まる方法も解き明かす。
ヤマザキマリ
猫というミラクルな生き物に出会いただけで、この世に生まれきてよかった。その喜びをしみじみ痛感させられる一冊。
出所:本の帯
『猫も老人も、役立たずでけっこう』
NHKの人気番組「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」から生まれた、養老センセイと愛猫まるの老老コンビが贈る痛快エッセイ。
ヤマザキマリ
人間よりも猫と虫を信頼している(それは私も同じ)養老先生。先生が乗り移ったかと思うほど同じ顔をしていた愛猫のまるは、昨年末に亡くなってしまったけれど、『まるをものさしにすることで、自分のものさしがリセットされる』という存在だった。
『役立たずでけっこう』と言い切る先生とまるの日常には、コロナ禍で忘れられがちな大切なことが、たくさん散りばめられている
『カモメに飛ぶことを教えた猫』
2019年、劇団四季の26年ぶりの新作ファミリーミュージカルとなった本書は、〈8歳から88歳までの若者のための小説〉とうたわれる世界的ベストセラー。
ヤマザキマリ
児童文学とされているが、著者自身が『8歳から88歳まで読んでほしい』と言っているほど内容は哲学的。猫たちが、本来ならば狩の対象であるカモメの子供を、飛べるようになるまでサポートしていく物語で、差別や、異文化との齟齬といった問題を盛り込みながら、理想の人間社会を描く。想像力の大切さに改めて気付かされる
『ノラや』
愛猫さがしに英文広告まで作り、「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」と涙塞き敢えず、垂死の猫に毎日来診を乞い、一喜一憂する老百間先生の、あわれにもおかしく、情愛と機知とに満ちた愉快な連作。
ヤマザキマリ
あの猫に対する思い入れ、猫を失ったら自分はダメになってしまうんじゃないか、という感覚は、猫を飼っている人ならば誰もが理解できるはず
『小松左京の猫理想郷』
日本を代表するSF作家小松左京は、根っからの猫好きとしても知られ、結婚してから亡くなるまでの半世紀あまりを常に猫と過ごした。創作のヒント、エッセーの題材、そして何よりも、心の支えとなった猫たちにまつわる作品集。
ヤマザキマリ
SF好きで、小松左京の本はずっと読んでいたし、彼が猫好きなのは知っていたが、猫にまつわる数々の文章を集めたこの本は特に素晴らしい。ぶっ飛んでいる(笑)。