ワイドショーなどでコメンテーターを務める社会学者。『平成くん、さようなら』『百の夜は跳ねて』で芥川龍之介賞候補に残った小説家でもある。
社会(日本国内)
『感情化する社会』
「天皇」も「文豪」も「お気持ち」化する天皇「お気持ち」、スクールカースト、多崎つくる、腐女子AIりんな、LINE文学…。私たちはあらゆるものを「感情」として表出し、「感情」として消費して生きている。余りに感情的すぎる日本の現在を不愉快に「批評」する試み。
古市憲寿
この一週間で読んだ本の中でダントツで面白かったのは大塚英志さんの『感情化する社会』。 バズることを拒否するようなエクスキューズにあふれる本だから、感想もつぶやきにくいんだけど、色んなことを根っこから考えた本とでもいっておこう。
出所:Twitter
『オリンピック経済幻想論〜2020年東京五輪で日本が失うもの〜』
東京五輪はすでに金銭的にも広告的にも頭打ち。これが後5年も続くという悪夢。もはやどの都市もやりたがらない。感動を与え富を失う世界的イベントの意味とは。過去の大会の経済収支から読み解く、“オリンピックは儲からない” という真実。五輪バブルの実態を暴いた全米話題の書。
『オリンピック経済幻想論』という本にによれば最近開催されたほぼすべてのオリンピックは予算を超過し、期待されたほどの経済効果はなかったと言っている。一部の産業にお金が集中するだけで、よくいわれる観光効果も先進国じゃあまりない、と。
— 古市憲寿 (@poe1985) August 23, 2016
『弱者の居場所がない社会』
「つながり」「役割」「居場所」から考える貧困問題の新しい入門書。
阿部彩(2011)『弱者の居場所がない社会』講談社現代新書。帯にあるように「貧困問題」を「勉強」したい人にはいい本だと思う。だけど「いちばんしんどい人に焦点をあわせた社会」という提言は著者も認めるように理想論。というか、今までもこれからも理念系として存在し得ないだろう。
— 古市憲寿 (@poe1985) December 21, 2011
『就活の神さま』
非モテ、非リア充、学生時代に取り組んだことなし……。そんな3流大生・晃彦が、ありとあらゆる失敗をしながら成長して、就活を乗り切っていく「青春小説」。
常見陽平(2011年)『就活の神さま』WAVE出版。「フツーの学生」が、そこまで無理をしないでいかに就活を乗り切れるかを書いたノウハウ満載小説。就活、負のスパイラルに陥ってる学生に奨めたくなる本。
— 古市憲寿 (@poe1985) October 27, 2011
『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』
豊富な体験を通じて明かされる現代の就活事情。学生から人事担当者まで幅広い層と触れ合う機会の多いキャリアセンターだからこそ把握している幾多の情報を今ここにぶっちゃける。
沢田健太(2011)『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』ソフトバンク新書。大学職員も大変なんです!という本。いっそ本当に何もかもぶっちゃけて最近の大学生批判、最近の企業批判を延々としたほうが良かった気もするが、そうじゃない良心的な内容。
— 古市憲寿 (@poe1985) October 22, 2011
『専業主婦に、なりたい!?』
まだまだ日本女子の大半が「いつかは専業主婦」願望を抱いている。しかし、その「いつかは専業主婦」は本当にイマドキのふつうの幸せなのか。
白河桃子さんの『専業主婦になりたい!?』(講談社)が面白かった。というか怖い本。男も女も何となくのファンタジーで結婚を想像しているがゆえの悲劇。結婚したくなくなる。
— 古市憲寿 (@poe1985) February 2, 2012
『日本人と不動産:なぜ土地に執着するのか』
土地所有の歴史、都市計画、住宅政策、不動産格差など、不動産を通じて明日の日本社会を考える。
吉村愼治(2011)『日本人と不動産:なぜ土地に執着するのか』平凡社新書。油断して読んでたら、すごくいい本だった。お金のこと、土地信仰のこと、都市計画のことなど、不動産をテーマに日本社会のことを、池上彰的わかりやすさで教えてくれる。
— 古市憲寿 (@poe1985) March 3, 2011
『社会を結びなおす』
教育・仕事・家族という三つの領域がきわめて強固で一方向的な矢印で結合し、循環していた従来の日本的社会モデルが破綻するまでのプロセスと要因を分析し、その理解に基づいて新しい社会像を具体的に描かれる。
古市憲寿
昔はシンプルだった戦後日本型循環モデルの図がとんでもないことになっている。ただ、本自体は社会の見取り図としてはよく整理されている。
出所:Twitter
『社会学の学び方・活かし方』
個性豊かな「職業としての学問」の体験を通して、「競っても争わない」団塊世代の5人が、それぞれに30年間の営みの中で掴み取ったノウハウを、いくつかのメッセージのかたちで次世代、次次世代に伝える。
金子勇他(2011)『社会学の学び方・活かし方:団塊世代の社会理論探求史』勁草書房。盛山先生とか、団塊の世代社会学者が、ただ自分たちの半生、研究史を振り返るという画期的な本。本当、ご本人たちが楽しそうで何よりです。
— 古市憲寿 (@poe1985) February 24, 2011
『社会学の方法』
教祖デュルケーム、天才ジンメル、巨匠ウェーバー、伝道師パーソンズ、達人マートン、鬼才ルーマンという六人の「偉大な社会学者」たちの人生と著作を通じて、社会学の形成と展開をたどる。
佐藤俊樹(2011)『社会学の方法』ミネルヴァ書房。読み終えた後にプチ佐藤俊樹になる人が多そうな印象。この本を読めば、社会学の論文が書けるようになるかはわからないが、他人の社会学は批判しやすくなるから。それは著者が最も望まないことであるとは思うが。
— 古市憲寿 (@poe1985) September 20, 2011
『福島第一原発廃炉図鑑』
福島について考えることは、世界と日本の現在を考えることだ。福島第一原発(1F)を考えることは、私たちの家族や友だちの未来を考えることだ。
わ、この本、図鑑好きとしてはすっごく楽しみ! https://t.co/LVwdmkVeDs
— 古市憲寿 (@poe1985) May 3, 2016
『日本人はなぜ存在するか』
グローバル化し、価値観が多様化した今の社会で求められるのは、歴史や文化のまったく異なる相手に、物事を伝える能力だ。様々なアプローチで見つめた知的刺激に溢れた、まったく新しい日本&日本人論。
與那覇潤さんの『日本人はなぜ存在するか』(集英社インターナショナル)が面白かった。社会学勉強する人が一度は「は?」ってなるだろう再帰性について非常にわかりやすく説明されている。社会学入門にもなるとてもいい本だと思いました。
— 古市憲寿 (@poe1985) October 28, 2013
『日本型大衆消費社会の胎動』
二つの小売革新による新しい消費のパラダイムの登場を戦前期日本社会に見いだす。消費者の価値観が転換し流通構造も変貌していく動態を、百貨店の通信販売・漆器・お茶・婦人雑誌代理部など具体的な対象を詳細に分析し、普遍性と個性の両面から描きだす日本型大衆消費社会の形成プロセス。
『日本型大衆消費社会の胎動』。戦前日本でいかに大衆消費社会が生まれたかを描く本なのだけど、その例が面白い。百貨店による通信販売とか、宇治茶をいかに全国ブランドにしたとか、婦人雑誌がいかに自分たちで通信販売を始めたとか。各章がそのまま新書になるレベル。
— 古市憲寿 (@poe1985) February 17, 2014
『〈若者と親〉の社会学:未婚期の自立を考える』
「仲がいい親子」、親からの経済的・精神的な支援の実態、育児をする娘と親の支援関係などの具体例から、結婚や就職が「自立=大人になること」につながらない現状を分析する。
岩上真珠編(2010)『<若者と親>の社会学』青弓社。「若者論」って学校→職業への移行がうまくいかなくなっていることには注意しても、親とか家族の問題を軽視しがち。という訳で移行期を親子関係と共に考えた本。論文集なのでテーマも質もバラバラだけど。
— 古市憲寿 (@poe1985) November 26, 2010
『ぼくらは現代社会でゼロ化する』
元田與市(2010)『ぼくらは現代社会でゼロ化する:かぎりなく個人が消えてゆく』双文社出版。久しぶりに読んだトンデモ本。いかにもごとーさんが怒りそうな。それとも、一冊全体が壮大な表象文化論なのかな。
— 古市憲寿 (@poe1985) November 15, 2010
『社会は情報化の夢を見る』
「情報化社会」という夢の正体を、それを抱き、信じたがる社会のしくみごと解明してみせる快著。
参考:Twitter
『国家神道と日本人』
神社だけではなく、皇室祭祀や天皇崇敬の装置を視野に入れ、国体思想や民間宗教との関わりを丹念に追う。日本の精神史理解のベースを提示する意欲作。
参考:Twitter
『日本の幸福度』
アンケート調査によって集められたデータを経済学の手法で分析することによって、「幸福度」を客観的に分析。
大竹文雄他編(2010)『日本の幸福度』日本評論社。包括的でかつ個別的で幸福初心者にも便利な本。所得水準が高く、所得上昇が続くことを予想していても、社会に失業不安があることを「認識」していると幸福度が低下する、とか。
— 古市憲寿 (@poe1985) September 6, 2010
『偏差値40から良い会社に入る方法 』
有名校ではない大学に通う学生でも、戦略さえ間違えなければ、就活を有利に進めることができる。会社選びから面接、内定後にいたるまでの実践的なノウハウを、平易に解説。
田中先生の本は何冊か読んだことがあるのですが(『偏差値40から良い会社に入る方法 』は実践的な名著だと思います)、ブログのアクセス数を気にされるブロガーになっていて残念です。 RT @hidetomitanaka http://t.co/ZxY6W3IV
— 古市憲寿 (@poe1985) September 17, 2012
『司法殺人』
元裁判官が「死刑」判決の歪みを掘り下げる。猟奇殺人、強盗殺人、両親殺し。この3事件に典型的に現れた、冤罪もしくは「逆冤罪」の実相とは。死刑判決の核心に迫る、法律ノンフィクション。
森炎『司法殺人』講談社。元裁判官の著者が「職業裁判官」の実態を描きつつ、冤罪と疑われた3つの「死刑ライン」事件を再解釈。で、この本が面白いのは「冤罪けしからん」「裁判官けしからん」で終わらせないで、長年の裁判で冤罪を勝ち取った人物が、釈放後に殺人事件を起こす3章。
— 古市憲寿 (@poe1985) September 16, 2012
『社会を変えるには』
いま日本でおきていることは、どういうことか。社会を変えるというのは、どういうことなのか。歴史的、社会構造的、思想的に考え、社会運動の新しい可能性を探る論考。
小熊英二『社会を変えるには』講談社現代新書、2012年。社会学やら現代社会論やら社会運動論やら近代思想やらが詰め込まれた、多くの人にすすめたい教科書だなあと思ったら、あとがきにこの本を「教科書」にするなと書いてあった。
— 古市憲寿 (@poe1985) August 18, 2012
『宇宙って面白いの?』
まったく宇宙に興味がなかった作家。夢をかなえて旅立つ、同級生の宇宙飛行士。素朴な疑問から取材を重ね、ついには母校に帰って宇宙の「魅力」「生活」「未来」について語り合う。
岩崎夏海・星出彰彦『宇宙って面白いの?』講談社、2012年。宇宙が面白いのかはおいといて、面白い本だった。もしドラの岩崎さんが、JAXAに殴り込みをかけるという企画。宇宙飛行士の星出さんが全編にわたってディスられているのも面白い。表紙も気持ち悪くて良い。
— 古市憲寿 (@poe1985) July 19, 2012
『安楽死で死なせて下さい』
人に迷惑をかける前に、死に方とその時期くらい自分で選びたい。92歳「渡る世間は鬼ばかり」の人気脚本家が語る究極の往生論。
古市憲寿
この本、めっちゃ面白い。当事者の強さ。
出所:Twitter
『合理的なものの詩学』
近現代日本文学の書き手たちは、同時代の理論物理学やその周辺領域の学知に、どのような思考の可能性を見いだしていたのか。「合理」的なものの見方を突き詰めていたはずの作家たちの方法意識が、時として「非合理」的な情念へと転化するのはどうしてなのか。
参考:Instagram
『ニッポンの海外旅行:若者と観光メディアの50年史』
時代を象徴するメディアとそれらが生まれた社会状況を分析し、日本の若者が海外をどう旅してきたのかを振り返る。そして現在の海外旅行が孕む問題の本質を、鮮やかな社会学的アプローチで明らかにする。
山口誠(2010)『ニッポンの海外旅行』ちくま新書。力作。日本の若者の旅をここまできちんとまとめた本は初めてじゃないかな。海外限定、女の子の旅には弱いけど。あと、最後にボランティアツアーを希望として提示するのもありきたりだけど。
— 古市憲寿 (@poe1985) July 7, 2010
『人口減少時代の土地問題』
持ち主の居所や生死が判明しない土地の「所有者不明化」。この問題が農村から都市に広がっている。空き家、耕作放棄地問題の本質であり、人口増前提だった日本の土地制度の矛盾の露呈だ。過疎化、面倒な手続き、地価の下落による相続放棄、国・自治体の受け取り拒否などで急増している。
古市憲寿
まさに日本の足元を見直す一冊。相続が身近な問題だろう読者が手に取れば、僕なんかよりよっぽど真剣に熟読してしまうはずだ。
出所:文春オンライン
社会(海外)
『グローバリゼーションと都市変容』
観光、メディア、消費空間、サブカルチャー、コミュニティなどを通して、ローカルな場としての都市とグローバル世界の動的なミクロ・マクロ連結を透視する。
『グローバリゼーションと都市変容』。実はきちんと知らなかった原宿ホコ天の始まりと終焉の話、商店街誕生の話とか、トリビア的にも楽しめる本。遠藤先生がテーマの多様さに困っていないか心配になった(グローバリゼーションにも都市変容にもあんま関係ない論文とか)が、後書き読むと楽しそうだった
— 古市憲寿 (@poe1985) November 1, 2011
『未完のレーニン』
資本主義の「外部」とは?革命観のコペルニクス的転回とは?『国家と革命』、『何をなすべきか?』という2つのテクストから立ち現れる、「リアルなもの」の探求者の思考の軌跡。資本主義の純粋化が進む現在、レーニンという思想史上の事件を捉え直す。
白井さんに興味を持った方はぜひ本を読んでみて下さい。「未完のレーニン」すごいよ!革命のはなし。 #ニッポンのジレンマ
— 古市憲寿 (@poe1985) January 1, 2014
『ビルマ・ハイウェイ:中国とインドをつなぐ十字路』
東は雲南(中国)、西はナガランド(インド)と国境を接するかつての「辺境」が今、空前の活況を呈している―。気鋭のビルマ史家が二大文明に挟まれた小国の歴史をたどり、自ら旅して「アジア最後のフロンティア」の実像に迫る。
古市憲寿
白水社の本はいつもジャケ買いしてしまう。なんか、かっこいい。
出所:Twitter
『私たちは今でも進化しているのか?』
人間は動物界最速のマラソンランナーだ。AIDS、結核、癌。病原体も進化している。進化における我々の常識を覆す、刺激に満ちた一冊。
古市憲寿
とっても面白い。炭水化物抜きダイエットへの嫌味から始まり、わずか20世代で声が鳴かなくなってしまったコオロギの事例とか、いちいち面白い。
出所:Twitter
『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』
3.11後に福島で取材を重ねた東浩紀・開沼博・津田大介の3名が、チェルノブイリへの取材を敢行。立入禁止区域内、廃墟と化した周辺自治体、そして原子力発電所内部を巡りながら、未だ収束しない事故現場でさまざまな関係者の声を聞く。
『チェルノブイリダークツーリズムガイド』、これはいいね。『思想地図』シリーズとしてというよりもチェルノブイリ本として良い。原発事故前からチェルノブイリ写真集などを買い集めていたのだけど、中々いいものがなかった。ようやく納得できる一冊が。
— 古市憲寿 (@poe1985) July 18, 2013
『したたかな韓国:朴槿恵時代の戦略を探る』
近年急成長を遂げ、着実に国際社会での地歩を固める韓国。そのしたたかさは、明快な政治システムの下で鍛えあげられた戦略性に由来していた。政治学のアプローチで、転換期の日韓関係に斬り込む清新な論考。
最近、訳あって20冊くらい韓国系の本を読んだのですが、最もバランスのとれていて情報量の多かったのが浅羽祐樹さんの『したたかな韓国』でした。鼎談本の『 徹底検証 韓国論の通説・俗説』もおすすめ。 #nhk24
— 古市憲寿 (@poe1985) May 8, 2013
『徹底検証 韓国論の通説・俗説』
竹島(独島)、天皇、慰安婦、歴史認識、政権交替…..国交正常化以来、まったく新しい局面を迎えた日韓関係。歴史と現状に通じた研究者とジャーナリストが、ネットやマスメディアに流布する通説・俗説を検証し、正しい見方を模索する。
参考:Twitter
『モノ言う中国人』
尖閣問題、反日デモなど、中国の世論が日本に及ぼす影響がますます大きい。長い中国在住歴を持つ著者は、一般に言われるような知識人の民主化運動よりも、インターネットの普及によってごく普通の人々が「モノ申す権利」=「話語権」を獲得したことが、中国に大変化をもたらしつつあると喝破する。
西本紫乃(2011)『モノ言う中国人』集英社新書。最近の研究成果をベースにしつつ、反日デモ、劉暁波、李剛事件などの時事ネタを解説。著者の中国歴も長いだけあって、色々と説得的。中国バブルの中、トンデモ本に埋もれてしまわないかだけが心配。
— 古市憲寿 (@poe1985) February 21, 2011
『聖地と祈りの宗教社会学』
制度や伝統が崩れ、個人が私的にキリスト教を消費する時代に、人々はどのように他者と紐帯を結び信仰を構築するのか。ツーリズム化する聖地巡礼を通じて織り成される新しい共同性を探究する。
岡本亮輔『聖地と祈りの宗教社会学』春風社、2012年。ポスト世俗化時代における巡礼ツーリズム(サンティアゴ巡礼とか)に対する、堅実で真摯な研究。宗教社会学って研究者本人が宗教家みたいな人が多いから(一般人にはついていけない)、こういう本は貴重だと思う。
— 古市憲寿 (@poe1985) May 26, 2012
『サイエンス・クエスト』
地球以外の星に、生きものはいるんだろうか。なぜ、みんないつか死ななければならないんだろう?算数とか数学って、生活のなかで役に立つんだろうか。北欧の人気サイエンス・ジャーナリストが、10代に向けておくる “思考するための” 科学入門書。
アイリック・ニュート『サイエンス・クエスト:科学の冒険』(NHK出版、2012年)という本が素敵。子ども向けの本なのだけど、「宇宙人はいるの?」→「そもそも生物の定義を考えて見よう」といった流れがスマート。
— 古市憲寿 (@poe1985) May 21, 2012
『世界のタワー』
誰もが知っている有名なタワーから、あまり知られていない隠れた絶景タワーまでを1冊にまとめた写真集。
『世界のタワー』(パイインターナショナル、2012年)という本が楽しい。世界中のタワーや塔が並んでいるだけの写真集なんだけど、色んなところに行きたくなる。中東の未来都市とか、広州タワーの観覧車とか、行きたい場所がたくさん。
— 古市憲寿 (@poe1985) May 20, 2012
『アメリカン・デモクラシーの逆説』
恐怖でがんじがらめの自由、負の連鎖にからめとられる公正、他人の心身までも規定してゆく多様性、空洞化してゆく民主主義…..。建国の理念を生き抜こうとするアメリカ社会の足下で、さまざまな皮肉な “転倒状況” が起きている。
渡辺靖(2010)『アメリカン・デモクラシーの逆説』岩波新書。フィールドワークと理論を行き来したアメリカ論。『貧困大国』ほどの衝撃も起伏もないけれど、とても丁寧で細かい情報までフォローされている。この前の対談本よりずっといい。
— 古市憲寿 (@poe1985) October 21, 2010
『貧者を喰らう国:中国格差社会からの警告』
中国建国65周年、共産主義の理想は、なぜ歪んだ弱肉強食の社会を生み出したのか。エイズ村、農民工、学歴競争、役人汚職、ネット世論、反日運動……中国社会の暗部に深く踏み込んだ女性研究者による衝撃の書。
参考:Twitter
『上海:多国籍都市の百年』
アヘン戦争後、一八四二年の南京条約によって開港した上海。外国人居留地である「租界」を中心に発展した街は、二〇世紀前半には中国最大の「華洋雑居」の地となり繁栄を極める。
参考:Twitter
『そうだったのか!中国』
2005年に上海で起こった「反日」運動を検証しつつ、チベット問題、天安門事件、台湾問題、そして経済格差など、複雑な中国現代史を分かり易く解説。
参考:Twitter
『アジール:その歴史と諸形態』
網野善彦、阿部謹也に多大な影響を与えたアジール論の名著。
参考:Twitter
『大義を忘れるな:革命・テロ・反資本主義』
グローバル資本主義そしてリベラル民主主義に支配され、高度資本主義の加速する現代にあって、その潮流に抗する真のラディカリストは如何に考え闘争すべきか—。
参考:Twitter
『82年生まれ、キムジヨン』
女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作。韓国で100万部突破。
一気に読んだ。韓国の圧縮近代がもたらした悲劇と抑圧。理不尽なことは理不尽と言ってもいいんだよね。それにしても一番恐ろしいのは、これが100年前とかではなく現代の物語だということ。もちろん日本もひとごとではない。 #82年生まれキムジヨン #読書 https://t.co/kF76gB8pWj
— 古市憲寿 (@poe1985) January 3, 2019
【同様にこの本を紹介していた著名人】
三浦瑠麗
『世界の悲惨』
ブルデューとその弟子23人が、52のインタビューにおいて、ブルーカラー労働者、農民、小店主、失業者、外国人労働者などの「声なき声」に耳を傾け、その「悲惨」をもたらした社会的条件が明らかにされる。
参考:Instagram
『進歩』
いたるところ破滅と悲惨―ニュースやメディアが書き立てるネガティブな終末世界、そんなものは嘘っぱちだ。啓蒙主義思想が普及して此の方、世の中はあらゆる面でよくなってきた。
古市憲寿
この本面白かった。過去の悲観主義者たちの間違いを暴いていく。
出所:Twitter
『新たなルネサンス時代をどう生きるか』
数々の天才の偉業により世界が一変したルネサンスの時代のヨーロッパ。21世紀の現代、それとまったく同じことが起ころうとしている…..。私たちはどう行動し、どう生きていくべきなのか。過去から学び、よりよい未来を築くためのユニークな提言の書。
古市憲寿
社会の変化には必ず両面がある。そんな時代に何をしたらいいのか。天才をどうしたら生み出せるか。天才以外の凡人はどうしたらいいのか。そのヒントが詰まった一冊だ。
出所:文春オンライン
『ベストセラーコード』
ベストセラーが売れるのは偶然か。それとも黄金の法則が存在するのか。テキスト・マイニングの最新技術を駆使して「秘密のDNA」を探り出した、文学界騒然の注目作。
古市憲寿
これまでもベストセラー指南書は数多く出版されてきた。しかし本作『ベストセラーコード』の最大の特徴は、いわゆる人工知能を活用したこと。
コンピューターにベストセラー小説五百冊、あまりヒットしなかった小説四千五百冊を読み込ませて、ベストセラーに共通するパターンを探ろうとしたのだ。結果、ベストセラーを八割以上の確率で判定できるアルゴリズムが完成した。
出所:文春オンライン
『アラー世代:イスラム過激派から若者たちを取り戻すために』
自らもかつて過激主義に染まり、そこから脱却した経験をもつ著者が、若者たちをジハードに引き込むサラフィストの手口を心理学的に分析し、予防と脱過激化の方法を提唱する。
書評も書いた『アラー世代』(晶文社)という本が面白かった。ドイツで移民に背景を持つ若者がいかにイスラム過激派に取り込まれていくかを描いた本。アイデンティティ不安による絶対的な答えへの帰依、それによる安心感という過程は、日本のオウム、ネトウヨ、陰謀論好きのそれと驚くほど似てる。
— 古市憲寿 (@poe1985) December 17, 2016
『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』
ゼロからどうすれば文明を再建できるのか。穀物の栽培や紡績、製鉄、発電、電気通信など、生活を取り巻く科学技術について知り、「科学とは何か?」を考える、世界15カ国で刊行のベストセラー。
古市憲寿
世界の終わりを舞台にしたサバイバル漫画と違い、きちんと人類が文明を取り戻す点まで考えているのが特徴。農業一つをとっても、そこには人類の叡智が集約されていることがわかる。
出所:文春オンライン
歴史
『戦前昭和の社会 1926-1945』
「十銭均一売り場」に足を運ぶ消費者、女性の地位向上を推進するモダンガール、新興宗教ブーム、就職難にあえぐ学生──。現代社会の原点=戦前を生きた人びとの実像を描き出す一冊。
あと井上寿一さんの本がどれも面白い。冬に出た『戦前昭和の社会 1926-1945』も楽しかったし、最近出た『戦前日本の「グローバリズム」一九三〇年代の教訓』も、人物が生きている感じ。目線が大上段じゃないから読みやすい。
— 古市憲寿 (@poe1985) July 11, 2011
『戦前日本の「グローバリズム」』
満州と関東軍、軍部の政治介入、ブロック経済による孤立化、日中戦争…多くの歴史教科書が「戦争とファシズム」の時代と括る1930年代。だが、位相を少しずらして見てみると、全く違った国家と外交の姿が見えてくる。
参考:Twitter
『天平グレート・ジャーニー』
天平五年の遣唐使は苛酷な運命を辿った。朝貢国中最下位扱いされながらも、多くの人士や書物を満載し帰国の途についた四隻の船団。だが嵐に遭い、判官の平群広成率いる第三船は遙か南方の崑崙国へ漂着する。
あと、船の中で読んだ本では上野誠『天平グレート・ジャーニー』(講談社)が、本当、面白かった。研究者の書いた遣唐使小説。今は一期一会とかいいながら本気になればほとんどの人とは再会できるけど、当時の旅は本当に一期一会の連続だった。
— 古市憲寿 (@poe1985) December 9, 2012
『絶対に行けない世界の非公開地区99』
世界の「立ち入り禁止」場所を99カ所紹介した、禁断のビジュアルブック。さまざまな理由により、行くことが不可能な場所・施設を一挙に公開。
古市憲寿
この本がとっても面白かった。50年間燃え続けてて立ち入れない街とか、秘密収容所とか海賊の街とかワクワクする場所がたくさん!
出所:Twitter
『神曲 地獄篇』
イタリア最高の詩人ダンテが十四世紀初めに著した百歌からなる『神曲』は文学、美術、現実の政治等に多大な影響を与えた、キリスト教文学の最高峰とされる叙事詩である。
古市憲寿
巻末の「新訳刊行にあたって」を読むだけで、この本がどれだけの時間と作業量をかけたかがわかる。
出所:Twitter
『ニュートンと贋金づくり』
膨大な資料と綿密な分析をもとに、ニュートンの捜査官としての知られざる一面に初めてスポットを当て、事件解決にいたる攻防をスリリングに描いたノンフィクション。
『ニュートンと贋金づくり』。研究者と職業という観点からも面白かったな。研究成果が認められ、社交界デビュー、議員などを務めつつ、大学の生活に物足りなくなって仕事を変える。そういった働き方を含めて、17世紀時代論にもなってる本。
— 古市憲寿 (@poe1985) December 9, 2012
『「日本史」の終わり』
日本を代表する経済ブロガーと気鋭の歴史学者が、「西洋化」「中国化」「江戸化」の3つの視点から縦横無尽に語り合い、日本の歴史を捉え直す。
池田信夫・與那覇潤『「日本史」の終わり』PHP、2012年。日本という国のマニュアルみたいな本。既存の学問ってうまく日本に当てはまらないな、ということが多いと思うんだけど、この本はすごく納得できる形で日本や中国や世界のことを語ってくれる。
— 古市憲寿 (@poe1985) September 21, 2012
『聖武天皇』
政変と兵乱、災異と疫病。律令国家草創期の困難な時代。天皇は、そのすべてを背負った。歴史家として真摯に史料と向き合い、東大寺の住職として人間への洞察を深めてきた著者が描く、“格闘する天皇” の実像。
森本公誠(2010)『聖武天皇』講談社。主体性ないよね、流されやすいよね、暗いよねという今までの聖武天皇評判を覆そうとした本らしい。天人相関説を真に受けて、厄災を全て自分の責任だと悩んじゃった天皇だったのか、というのが僕の読後感。
— 古市憲寿 (@poe1985) November 17, 2010
『図説 聖地への旅』
歴史的な俯瞰からも、聖地は政治的・社会的出来事、時代と密接に繋がり、人と繋がりながら存在し続ける。
レベッカ・ハインド(2009=2010)『図説 聖地への旅』原書房。写真付きで世界各地の聖地を解説した本。興味深いのは「聖地」としてメッカや泰山と並んで、広島やガラパゴス諸島が取り上げられていること。
— 古市憲寿 (@poe1985) November 16, 2010
『大正文化 帝国のユートピア』
竹村民郎(2010)『増補 大正文化 帝国のユートピア』三元社。表紙が堅い本なのに、内容が柔らかいなあと思ったら1980年に出た新書の増補版だった。「栄養学的によい」みたいな価値観が社会に広まったからカルピスがヒットしたとか、トリビアたくさん。
— 古市憲寿 (@poe1985) November 16, 2010
『数字でわかるお江戸のくらし』
江戸についての文献や史料に基づきながら、『数字』をキーワードとして「江戸時代の庶民の生活から社会まで」を幅広く概観した一冊。
参考:Twitter
『法華義疏(抄) 十七条憲法』
日本古代史に屹立するすずやかな哲人政治家の思想と行動。
参考:Twitter
『和漢朗詠集』
平安時代中期の才人、藤原公任によって編まれた漢詩句588と和歌216首からなるユニークな詞華集の全作品に、最新の研究成果に基づいた現代語訳・注釈・解説を付す。文学作品としての読みも示した必読の古典。
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『法華義疏』
聖徳太子が書いたとされる書物。
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『平安京はいらなかった』
「使いにくさ」に目を向け平安京を捉え直した、“千年の都” の本質に迫る刺激的な一冊。
桃崎有一郎 『平安京はいらなかった』 吉川弘文館。とっても面白かった。身の丈に合わない平安京という巨大都市を造ってしまったという現代にも通じる都市計画の失敗話。説明と比喩が丁寧で、非専門家にもわかりやすい、いい本。https://t.co/giCMVccG3D
— 古市憲寿 (@poe1985) April 10, 2017
『古代日本の情報戦略』
超人アスリートでなくても、誰でもいち早く確実に情報を届ける通信システム。その運用はなぜ可能だったのか。馬小屋の様子など各地の遺跡調査で見えてきた駅家の実態と、文学含め多岐にわたる史料とを照らし合わせ、古代国家体制の駅路設置の真の目的を考える。
近江俊秀 『古代日本の情報戦略』 (朝日選書)。最近読んだ本の中で一番面白かった!律令国家時代、情報は一日140km以上の速さで届けられた。太宰府から都で約5日。江戸時代と比べても遜色のないスピードらしい。https://t.co/t5Y3CSWOGE
— 古市憲寿 (@poe1985) March 13, 2017
『近代家族の誕生』
1900年、野口幽香、森島峰という二人の女性によって設立された東京・四谷の「二葉幼稚園」。“天皇制” と “キリスト教” を背景に救貧事業が展開された明治・大正期において、二葉幼稚園は、貧困層における「家族」の成立と生存戦略 にいかに寄与したか。
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『津田左右吉、大日本帝国との対決』
明治末年、津田は日本近代の破局を予言した。天皇を軍事指導者に祀り上げる帝国に真っ向から対抗し、その本来の姿を説いた「津田裁判」。法廷対決に秘められた歴史の叡智とは?戦後70年、全く新しい「格闘する」評伝、津田左右吉。
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『日本の古墳はなぜ巨大なのか』
古代日本に造られた16万基もの古墳。その膨大な数や500メートルにも達する傑出した規模、特異な形は、社会のしくみをいかに反映するのか。エジプト・アメリカ大陸・中国など世界各地の巨大モニュメントと比較し、日本の古墳の特質と謎に迫る。
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『日本古代の交易と社会』
官僚機構が整備され、多くの人が集まる都城には膨大な物資が必要となる。律令国家はそうした需要を支える流通経済の仕組みをいかにして作り上げたのか。都城の東西市と地方の市に注目し、国家の管理方針の違いを考察。
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『遺伝子:親密なる人類史』
ピュリッツァー賞を受けた医師が描く「遺伝子科学」の全貌とは。メンデルのエンドウマメは、いかにダーウィンに出会い、優生学の暗黒の歴史をへてゲノム編集へと発展したのか。我々の未来を占う必読書。
古市憲寿
本書はメンデルから始まる遺伝子研究百五十年の歴史を紐解いた一冊だ。大著なのだが、オススメは下巻の第五部から読むこと。遺伝子にまつわる最新の研究事情が一気にわかる。
出所:文春オンライン
【同様にこの本を紹介していた著名人】
ビル・ゲイツ、サンダー・ピチャイ
『消された信仰』
新世界遺産から黙殺された島があった。長崎「潜伏キリシタン関連遺産」。カトリック史の「重大タブー」に迫る、第24回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
古市憲寿
抜群に面白いのは、「かくれキリシタン信仰」の現状である。ある信徒は、自宅で御神体にオラショと呼ばれる祈りの言葉を唱えると同時に、立派な仏壇にも手を合わせるという。あれ、キリスト教って一神教じゃなかったっけ?
出所:文春オンライン
小説
『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』
駿河湾で揚がった巨大ウナギを食べた人間が食中毒にかかった。原因はウナギの体内に残留していたレアメタルのパラジウム。非鉄金属を扱う会社の社員・斎原は、そのウナギが日本の資源確保の切り札になると確信し、生息地を追ったが—。
篠田節子(2011)『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』文藝春秋。久しぶりに篠田節子読んだらすごく面白かった。短篇集なんだけど、『弥勒』とか『ゴサインタン』みたいな遠大な世界観を思い出す。最近の本も読んでみようかなあ。
— 古市憲寿 (@poe1985) January 17, 2012
『弥勒』
新聞社の永岡は、妻の櫛がヒマラヤの国パスキムの破壊された仏像の一部と気づく。5年前入国した首都カターで見た美麗な仏像彫刻だった。美術品持ち出し禁止の国で政変のため寺院が崩壊したと聞いて、密入国を試みる。
参考:Twitter
『ゴサインタン』
平凡な男と貧しい女。家族と故郷。土と信仰。著者は、日本のどこにでもある、農業と家族の問題を見すえる。転落の快楽か、再生の愉悦か—。
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『失われた夜の歴史』
私たちが忘れてしまった、夜の魅惑と恐怖を初めて描き尽くした傑作!夜を暗闇が支配していた時代、悪魔などが跋扈する一方で、自由を求める人々は夜に解き放たれた。
古市憲寿
邦訳が出た!読みやすい日本語になってて嬉しい。
出所:Twitter
『ハガキ職人タカギ!』
広島県在住、高校2年生、高木政弘、彼女なし。唯一の友人は、後ろの席の白井。おたくな俺に近寄る物好きな女子は、もちろんいない。だけどそれだけで狭い世界で生きる男と判断されちゃ困る。学校の奴らは誰も知らないけれど、深夜になれば全国のラジオリスターが俺のネタを待っている(ハズ)。
風カオルさん(ペンネームが出落ちのひとっていい)の『ハガキ職人タカギ!』って本も読んでみた。ハガキ職人という世界の中で繰り広げられる地味な青春物語。そう、ほとんどの青春ってきっと地味なんだよね。地味だからこそ普遍的。これも一気に読めた。
— 古市憲寿 (@poe1985) January 11, 2015
『ゲンロン0』
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
古市憲寿
「観光客」という、誰もが知る言葉を糸口に、人々がいかにつながることができるのかという命題に真っ向から挑んだ挑戦的な一冊だ。(中略)とにかく比喩がわかりやすく、哲学書としては異様に読みやすい。
出所:文春オンライン
【同様にこの本を紹介していた著名人】
三浦瑠麗
『ふたご』
彼は、わたしの人生の破壊者であり、創造者だった。異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。SEKAI NO OWARI Saori、初小説。
古市憲寿
社会運動ではよく「最初のフォロワーの存在こそが、孤独なバカをリーダーへと変える」と言われる。『ふたご』も、社会からドロップアウトした少年が、仲間を見つけ、成功へ向かう物語だ。
出所:文春オンライン
『QJKJQ』
女子高生の亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家に生まれ、郊外でひっそり暮らしていた。父は血を抜いて殺し、母は撲殺、兄は咬みついて失血させ、亜李亜はナイフで刺し殺す。ところがある日、部屋で兄の惨殺死体を発見する。翌日には母がいなくなり、亜李亜は父に疑いの目を…。
古市憲寿
ラノベをめっちゃ真面目に書いた感じの、理性的だけど読みやすい本。
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『世界泥棒』
あいつが世界を盗みつづけた結果、もうほとんど夕暮れしかのこっていないんだよ。放課後の教室、男の子たちが死ぬまで銃で撃ちあう「決闘」。
参考:Twitter
『どこの家にも怖いものはいる』
三間坂という編集者と出会い、同じ怪談好きとして意気投合する作家の三津田。その縁で彼の実家の蔵から発見された「家」に関するいくつかの記述を読むことになる。だが、その五つの幽霊屋敷話は、人物、時代、内容などバラバラなはずなのに、奇妙な共通点が…。
古市憲寿
この本、めっちゃくちゃ怖かった。怖すぎて読みふけってしまった。夜中にひとりで読むのがいいと思うよ!
出所:Twitter
自己啓発
『寂しさの力』
世界を変える偉人やスターは、みんな猛烈なさみしさの持ち主だった。彼らは精神的「飢え」をいかにして生きる力に変えていったのか。自身の喪失体験をもさらけ出して人生の原動力を示した筆者の新境地。
中森明夫さんの『寂しさの力』、いい本だった。「いい本」って上から目線でしか感想が言えないのは、代替不可能なものの喪失を描いたこの本をどんな言葉で形容しても、それが陳腐になってしまいそうだから。セカネコの文庫解説と一緒に読むのがいいと思う。
— 古市憲寿 (@poe1985) April 9, 2015
『負ける技術』
世知辛い現代において、勝利は敗北の始まりだ。勝者を慕い集まるのはせいぜい一割、残りは転落の瞬間を待つ殺し屋ばかりと言えよう。ならば目指すべきは、“いかに負けるか”。リストラ→派遣切り→ハローワーク通いに泣き、今は漫画家兼OLとして自転車操業中の著者が説く、敗北からの必笑
エッセイ『負ける技術』は、さくらももこの再来かってくらい素晴らしい。ただし、さくらももこのようにスピ要素はなく、代わりに呪詛が加わっている。本の売れ筋からいうと、このあたりですでに負けている。
— 古市憲寿 (@poe1985) January 15, 2014
『リーダーは自然体』
社長がすなわち凄いのではない。新人でも「社長目線」を持てれば凄いのだ。名立たる外資系企業で本社人事部門トップになった女性社員と気鋭の経営学者が、リーダーの本質を探る。
増田、金井(2010)『リーダーは自然体』光文社新書。リーダーシップに関する本かと思いきや、増田弥生さんという方の半生記。女性のキャリアアップ物語としては面白かった。女版島工作。
— 古市憲寿 (@poe1985) July 8, 2010
『ミライの授業』
「私の著作活動は、この一冊のためにあった」―ベストセラー『僕は君たちに武器を配りたい』の著者・瀧本哲史が全国の中学校を訪れて開講した特別講義「未来をつくる5つの法則」のエッセンスが本に。
瀧本哲史さんの『ミライの授業』は、楽しくて面白くてかわいい本だった。「ミライ」を描こうとするとついこの数年の出来事を描きたくなっちゃんだけど、数世紀のスパンで進んできた人類の歩みから「ミライ」を構想しようとしている。長く読み継がれるんだろうな。
— 古市憲寿 (@poe1985) July 17, 2016
『すべての仕事は「肯定」から始まる』
「ニッポンのジレンマ」「ニッポン戦後サブカルチャー史」「爆笑問題のニッポンの教養」「英語でしゃべらナイト」等々プロデュース。仕事がうまくいかない人、やりたいことができず不満を抱えた人、新企画に挑もうという人、これから社会で仕事をする人……仕事をする、すべての人に届けたい本。
古市憲寿
自己啓発本とは真逆の発想なのに、結果的にすごく仕事に役立つ本です。丸山さんは、とても変な人だ。面白いことを、自信なさげにぼそっという。「仕事ができます」オーラもあまり出さない。だけど人の記憶に残る変な番組を、定期的に生み出している。
出所:Amazon
『読書は格闘技』
武器となる “最強の読書術” & “ブックガイド” 。いま必要なテーマについて、主張の異なる「良書」を熟読し、自らの考えを進化させる―。読書を通じた、能動的且つ実践的な知的プロセスの真髄を伝授。
瀧本哲史さんの『読書は格闘技』。各章、二冊の名著を競い合わせるというコンセプトが秀逸。ただの書評と違い、その本の社会的、歴史的位置付けが明確になる。どっちの本が瀧本さん的に「勝ち」ななどもっと踏み込んで欲しかったが、そうすると受け身で読んじゃうからね。
— 古市憲寿 (@poe1985) April 24, 2016
『バースト!:人間行動を支配するパターン』
自由意志に基づくはずの私たちの行動にはパターンがあった。中世十字軍騎士、アインシュタイン、FBIに追われる現代アーティストまですべての行動は「バースト」に操られていた。
最近、何のためでもない読書をしようと思って面白かった本は、少し古いけど「バースト!」(NHK出版)の小説パート。内容が、というよりも(大まかな史実は検索したら出てくる)著者がある歴史を知るために東欧の公文書館へ出かけるくだりとかがかっこよかった。
— 古市憲寿 (@poe1985) April 5, 2014
『人見知りだった千秋が付き合い上手になった魔法の法則16』
4月の新生活に向け、付き合い上手になりたい人、さまざまな人間関係に悩む人へ。「ママ友」の世界だけでなく、職場、ご近所、クラス、どこでも使える。ママからの悩みに答える38のQ&Aや、臨床心理士の信田さよ子さんとの対談も収録。
古市憲寿
面白かった。要は自分と合わない人といかに付き合っていくかという本。学校での人間関係は期間限定とかその通りだなあ。
出所:Twitter
マンガ
『懲役339年』
転生が信じられている世界で、大罪人の生まれ変わりとして、生まれてからずっと刑務所ですごす少年ハロー。前世の記憶もなく、罪の意識もなく、ただひたすら罪を償う2代目ハローの日々とは。
色々本を読んでたんだけど、漫画では『懲役339年』が面白かった。転生が信じられる世界で、ダライラマのように死んでも生まれ変わりが主人公の刑を引き継いでいく話。何がいいってスピード感。いま2巻ですでに主人公は6代目。人命が軽い漫画っていいよね。
— 古市憲寿 (@poe1985) January 11, 2015
【同様にこの本を紹介していた著名人】
西村博之
『子供はわかってあげない』
モーニング誌上で思わぬ超大好評を博した甘酸っぱすぎる新感覚ボーイミーツガール。センシティブでモラトリアム、マイペースな超新星・田島列島の初単行本。出会ったばかりの二人はお互いのことをまだ何も知らない。ああ、夏休み。
古市憲寿
すっごく面白かった。暑苦しくなく、嫌味にもならず、きちんと一夏の青春を描いたマンガ。そうこういうのが読みたかった!
出所:Twitter
『重版出来!』
「マンガ」は、漫画家だけのものじゃない。編集者、営業、宣伝、製版、印刷、デザイナー、取次、書店員…..。数えきれないマンガの裏方たちのリレーで、読者の手に届くもの。そう、裏方の熱き想いがあるからこそ「マンガは売れる」。
「なんで売れたかわかんないって?「売れた」んじゃない。俺たちが売ったんだよ!!」(松田奈緒子『重版出来』)。そう、本を売るって著者も編集者も営業の人も書店の人もファンの人も、みんなの共同作業なんだってことが、すごーくよく伝わってくる。
— 古市憲寿 (@poe1985) April 2, 2013
『いちえふ:福島第一原子力発電所労働記』
「メディアが報じない福島第一原発とそこで働く作業員の日常」、そして「この先何十年かかるともしれない廃炉作業の現実」を、あくまでも作業員の立場から描写。
古市憲寿
ありえてはいけなかった非常事態の現場での日常が、 淡々と、詳細に描かれている。
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『東京怪奇酒』
清野とおるが友人知人他人から直接聞いた恐るべき「怪談」の数々…。その怪奇現場に実際に足を運んで「酒」を飲んじゃおうってワケ。嗚呼、一度でいいから「オバケ」を見たい。
清野とおるさんの『東京怪奇酒』を読んでいる。世の中に、こんなに頭がおかしい趣味があるなんて! 実際に清野さんと話している時のように、初めは「まさか」と思っていたことが、後から少しずつ現実味を帯びてくる感じが怖い。夜中に一人で読んだほうがいい本です😀
— 古市憲寿 (@poe1985) February 9, 2020
実用書
『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学』
誰を信じるか、誰を疑うか。会話しながら駆け引きを行ったり、説得したり、嘘をついたり、誰かを信じたり、騙されたり。「究極の心理ゲーム」人狼ゲームを楽しみながら学校の活動で、企業の研修で活用できる、コミュニケーショントレーニング入門。
なぜか新曜社が人狼の本を!きちんとした心理学のエッセンスもあるいい本。もう、人狼を教科にしてもいいと思うよ。ほんとゲームを通してその人の人柄がわかる。→
人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学 http://t.co/hXUtt4gz2x
— 古市憲寿 (@poe1985) October 4, 2015
『図解 生き物が見ている世界』
動物好きで知られる芸人ココリコ・田中直樹 & 科学界のインディ・ジョーンズこと長沼毅広島大准教授。2人が「生き物たちの目には、世界はどのように見えているのだろうか」という疑問を明らかにした、画期的なイラスト図鑑。
古市憲寿
最近読んだ中でいちばん面白かった本。いま見えている世界は、一つなんかじゃない。それって救いだよね。
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『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、マネージャーの仕事のためにドラッカーの『マネジメント』を間違って買ってしまう。はじめは難しくて後悔するのですが、しだいに野球部のマネジメントにも生かせることに気付く。
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【同様にこの本を紹介していた著名人】
糸井重里
『写真、撮られ術。』
全国民必見、すぐ役立つ技術が満載。写真写りを徹底的に知り尽くしたプロが贈る「写真写りが劇的によくなる技術」。
永田昌徳『写真、撮られ術。プロ写真家がそっと教える、証明写真の撮られ方!』(講談社)。これはいい本。就活中の人、履歴書を書く予定のある人、いくらメディアに取材されても写真撮影に中々慣れない人におすすめ。
— 古市憲寿 (@poe1985) June 14, 2012
『翻訳できない世界のことば』
外国語のなかには、他の言語に訳すときに一言では言い表せないような各国固有の言葉が存在する。本書は、この「翻訳できない言葉」を世界中から集め、著者の感性豊かな解説と瀟洒なイラストを添えた世界一ユニークな単語集。
古市憲寿
『翻訳できない世界のことば』という本がすてき。誰かにプレゼントしよう。
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【同様にこの本を紹介していた著名人】
宇垣美里